カテゴリー別アーカイブ: お知らせ一覧

農業共済新聞(11月)を掲載しました

加工用キャベツ契約栽培
大玉で安定経営目指す
徳島市 佐野友彦さん

_徳島市で野沢菜やカリフラワーなど多品目の露地野菜を栽培する佐野友彦さん(46)は、ブロッコリー200㌃を加工用キャベツの契約栽培200㌃へと中心作物の転換に取り組んでいる。
_ブロッコリーを栽培していた佐野さんは、黒すす病の頻発や全国的な生産量増加による価格低下を不安に感じていたとき、県内の業者から加工用作物の栽培を依頼された。キャベツは収量を上げるため、定植する株間を生食用より広い40㌢にして大玉の生産を図る。
_佐野さんは「加工用キャベツは契約単価での出荷なので、収量を確保すれば安定した収入が見込める。重量出荷だから選果の必要がないことにもメリットを感じた」と話す。
_2022年にJA徳島市の北井上カリフラワー部会を立ち上げ部会長を務める佐野さんは、中心作物のプラスアルファとして、カリフラワーの恒常的な出荷にも力を注ぐ。「その時々でいいと思うものを今後も柔軟に取り入れて、安定経営を目指したい」と意欲的だ。


キャベツは10㌃当たり8㌧の収穫量を見込む佐野さん

農業共済新聞(10月)を掲載しました

気象災害特例の新設に安堵
徳島県那賀町  飯島 好さん

_収入保険を知ったのは、ケイトウの栽培を始めた2019年、先輩農家の自宅で偶然その場に居合わせたNOSAI職員の話を聞いたときでした。農業収入の減少を補てんできるというほかにはない保険として、加入する考えが当時からあり、21年分補償から契約しました。コロナ禍や突然の異常気象のような不測の事態に備えるためにも、収入保険は私にとって必要不可欠です。
_就農当初は安定した収量と自分に合った営農スタイルを探すため、ケイトウ以外の栽培も試しました。収入保険は、そのような試行期間の失敗のリスクにも備えられます。
_21年には、栽培していたハボタンが、地域的に大量発生したコナガの幼虫の食害で全滅しましたが、保険金を受け取ったことで、損失は最小限に収まりました。ケイトウは価格や需要の変動幅が大きく、特にコロナ禍では市場が不安定な時期が続きましたが、収入保険に加入していることで強い安心感を得ながら営農できています。
_一方で、天候の影響を受けやすい露地栽培がメインの私にとって、近年の異常気象に対して収入保険だけでは拭えない不安がありました。天候による大損害の補てんを受けても、次年度の基準収入が大きく下がってしまうからです。しかし、甚大な気象災害を受けた年の収入金額を補正してくれる気象災害特例が来年新設されると聞いて、補償の拡充に今は安堵〈あんど〉しています。
_私が所属する相生ケイトウ部会では、担い手の高齢化と後継者不足が進んだこともあって、新規就農者を随時募集中です。地域活性化への足がかりとして、ケイトウ栽培が魅力的で努力が報われるなりわいになることを願っています。そのためにも、新規参入者には安定を見据えて収入保険への加入を勧めたいです。

農業共済新聞(9月)を掲載しました

安全・安心な米 銘酒の夢実現
徳島県阿波市  西田 賢二さん
ポット成苗を疎植 病害虫に強く倒伏軽減

_阿波市市場町の西田賢二さん(44)は、30歳で就農し、現在は約100筆の圃場で水稲8㌶、麦30㌃を栽培する。就農当初は、山間地で露地野菜を自然に近い農法で栽培していたが、獣害などで収量が取れなかった。2019年に平野部の農地を借りて穀物生産へ転向。栽培品種は「コシヒカリ」「ヒノヒカリ」「にこまる」のほか、古代米や酒造好適米、小麦、ライ麦など多岐にわたる。

_水稲栽培への転向を決めた理由の一つは酒米造り。日本酒愛好家の会に所属する西田さんは、自分が栽培した米で日本酒を造ることがかねてからの夢だった。
_収穫した酒米は、蔵元で醸され「お殿田(おでんでん)」という銘酒に生まれ変わる。酒米の品種は「五百万石」や「山田錦」など毎年変えて、味わいの違いを楽しめるのが特徴だ。
_酒米栽培では化学合成農薬や除草剤を一切使わず、化学肥料も可能な限り使わない。農薬を使わず栽培する際に悩まされる病害虫対策は「みのるポット成苗移植システム(みのる式)」を導入。みのる式は丈15㌢まで育てた根鉢付きの成苗を疎植する。病害虫に強く、倒伏軽減の効果もあるという。さらに、田植え時に米ぬかをまき、土壌表面を酸欠状態にすることで雑草の出芽を抑制している。
_米作りを始めて、有機栽培や農薬使用を抑えた栽培の農産物への需要が高いと感じたという。「子どもがいるので、自分自身も食の安全性への関心は強い。全国的に有機学校給食の導入が広がっているが、自治体でそういった取り組みが始まればぜひ参画したい」と西田さん。
_「栽培には手間暇かかるが、価値を感じて購入してくれる人が多い。購入者からの声が励みになっている。来年は水稲の栽培面積を10㌶以上、酒米も増やしていきたい」と意気込む。
_西田さんの米は、生協の宅配「コープ自然派」、ふるさと納税返礼品での取り扱いのほか、写真共有サイト(インスタグラム)のダイレクトメッセージを通じた販売など、商品の特長を生かした販路を確立している。

写真説明=米笑(こめしょう)という屋号で営農に取り組む西田さん。「おいしいお米を食べて、毎日笑顔で健康に過ごしてほしい」という思いが込められている

農業共済新聞(8月)を掲載しました

風害に備え園芸施設共済加入
イチゴ良品出荷へ注力
鳴門市 坂本愛子さん

_兵庫県出身の坂本愛子さん(39)は、2018年に夫の地元の徳島県鳴門市へ移住。23年5月に新規就農し、ハウス3棟9㌃でイチゴ「紅ほっぺ」の栽培を始めた。
_栽培方法やパック詰めなどは4軒のイチゴ農家で学んだ。先輩農家の平山進次さんは「失敗を重ねて上手になる。よそをよく見て学ぶことを大切にしてほしい」と坂本さんの背中を押す。
_農業を始めるに当たり、鳴門市役所の担い手農地集積高度化促進事業を利用して借りた32㌃の農地に、県内の農家から譲り受けたハウスを建てた。ハウスは開けた土地にあり、風害が心配されるため園芸施設共済に加入。併せて、筋交いやタイバーなどの二重の備えも検討している。
_目標収穫量は約5㌧。今年は消費者に名前を知ってもらうため、全量を農産物直売所へ出荷する予定だ。12月の初出荷に向けて、現在は土壌作りや育苗などに力を注ぐ。坂本さんは「まずは販売実績をつくることが大切。今まで学んできたことを生かして、手に取ってもらえるようなおいしいイチゴを作りたい」と意気込む。

写真説明=9月の定植に向けて作業を進める坂本さん

農業共済新聞(7月)を掲載しました

備えて安心 園芸施設共済
いつ何が起こるか分からない
徳島県徳島市  西口 秀信さん
_高校卒業と同時に就農し、当初は両親とホウレンソウなどを栽培していましたが、乳牛を10数頭飼っていたので結婚後は妻と酪農業中心に移行しました。
_当時、両親に理解があり、月1回「休農日」というものを設け、子供と旅行に出かけることもできました。今思えば、その当時としては画期的な発想ではなかったかと思います。
_酪農を約10年営んだ後、イチゴ栽培を経て、園芸施設でのトマト栽培に転換しました。栽培方法は近所の方やJAの営農指導員のアドバイスを受けながら、一から手探りでのスタートでした。
_40年ほど前、トマト栽培のために秋に建てたばかりのハウスが、翌年の春の突風で倒壊しました。幸い、園芸施設共済に加入していたので、共済金で再建できました。
_昨年はハウスの被覆材が台風で被害に遭い、住宅の屋根部分も損傷しましたが、園芸施設共済、建物共済それぞれの共済金で修復することができました。農業は自然が相手で、いつ何が起こるか分からないので、農業保険へ加入していると安心して営農できます。
_就農して今年で六十数年たちますが、農業は水管理や肥培管理、防除も実際にやってみないと分からない部分が多く、さらに最近の異常気象などもあり条件が毎年変化するので、一年一年が勉強のつもりで続けています。また、農業と私生活の両立のため、以前の休農日のように、時間を見つけては妻とドライブや日帰り旅行へ出かけ余暇を過ごすようにしています。
_年齢のこともあるので規模拡大は難しいですが、消費者の皆さんが食べておいしいと思ってくれるような品質の良いトマト栽培を妻とともに続けていきたいです。

写真説明=秀信さん(左)と妻の光子〈みつこ〉さん(78)

農業共済新聞(6月)を掲載しました

良質の小麦で夢実現
おいしいパンを追求
吉野川市 吉野秀さん・真理子さん

_【徳島支局】「自然豊かな所で生きたい」という思いで吉野川市美郷に移住したのは、吉野秀さん(44)と妻の真理子さん(39)。夫婦で温めていた夢を実現し、2021年9月にパン店「moku moku note Bakery & Cafe」をオープンした。
_自然に近い農法で栽培された小麦を主に使い、全粒粉を多く配合したパンは薪窯〈まきがま〉で丁寧に焼き上げられ、奥深い香りや味わいを感じる。「酵母は自家製です。昔住んでいた町で作っていたときに比べ、自然あふれる美郷の水と空気のおかげで酵母菌がすごく活性化していると感じます」と吉野さん。
_店頭には、数種類の小麦の配合を変えて作る「杢〈もく〉」「玄〈くろ〉」の2種類を軸に、ナッツやベリーなどいろいろな素材を練り込んだパンが並ぶ。
_今年は小麦を提供してくれる農家が新たに増え、その小麦を使用したパンが秋ごろには味わえる見込み。吉野さんは「地元の農家さんが大事に育てた質の良い小麦を、おいしいパンにして消費者に届けます。おいしいパンをシンプルに追求し、純阿波産(100%徳島)を目指したい」と話す。

写真説明=自慢のパンを手にほほ笑む吉野さん夫妻