カテゴリー別アーカイブ: お知らせ一覧

農業共済新聞(9月)を掲載しました

安全・安心な米 銘酒の夢実現
徳島県阿波市  西田 賢二さん
ポット成苗を疎植 病害虫に強く倒伏軽減

_阿波市市場町の西田賢二さん(44)は、30歳で就農し、現在は約100筆の圃場で水稲8㌶、麦30㌃を栽培する。就農当初は、山間地で露地野菜を自然に近い農法で栽培していたが、獣害などで収量が取れなかった。2019年に平野部の農地を借りて穀物生産へ転向。栽培品種は「コシヒカリ」「ヒノヒカリ」「にこまる」のほか、古代米や酒造好適米、小麦、ライ麦など多岐にわたる。

_水稲栽培への転向を決めた理由の一つは酒米造り。日本酒愛好家の会に所属する西田さんは、自分が栽培した米で日本酒を造ることがかねてからの夢だった。
_収穫した酒米は、蔵元で醸され「お殿田(おでんでん)」という銘酒に生まれ変わる。酒米の品種は「五百万石」や「山田錦」など毎年変えて、味わいの違いを楽しめるのが特徴だ。
_酒米栽培では化学合成農薬や除草剤を一切使わず、化学肥料も可能な限り使わない。農薬を使わず栽培する際に悩まされる病害虫対策は「みのるポット成苗移植システム(みのる式)」を導入。みのる式は丈15㌢まで育てた根鉢付きの成苗を疎植する。病害虫に強く、倒伏軽減の効果もあるという。さらに、田植え時に米ぬかをまき、土壌表面を酸欠状態にすることで雑草の出芽を抑制している。
_米作りを始めて、有機栽培や農薬使用を抑えた栽培の農産物への需要が高いと感じたという。「子どもがいるので、自分自身も食の安全性への関心は強い。全国的に有機学校給食の導入が広がっているが、自治体でそういった取り組みが始まればぜひ参画したい」と西田さん。
_「栽培には手間暇かかるが、価値を感じて購入してくれる人が多い。購入者からの声が励みになっている。来年は水稲の栽培面積を10㌶以上、酒米も増やしていきたい」と意気込む。
_西田さんの米は、生協の宅配「コープ自然派」、ふるさと納税返礼品での取り扱いのほか、写真共有サイト(インスタグラム)のダイレクトメッセージを通じた販売など、商品の特長を生かした販路を確立している。

写真説明=米笑(こめしょう)という屋号で営農に取り組む西田さん。「おいしいお米を食べて、毎日笑顔で健康に過ごしてほしい」という思いが込められている

農業共済新聞(8月)を掲載しました

風害に備え園芸施設共済加入
イチゴ良品出荷へ注力
鳴門市 坂本愛子さん

_兵庫県出身の坂本愛子さん(39)は、2018年に夫の地元の徳島県鳴門市へ移住。23年5月に新規就農し、ハウス3棟9㌃でイチゴ「紅ほっぺ」の栽培を始めた。
_栽培方法やパック詰めなどは4軒のイチゴ農家で学んだ。先輩農家の平山進次さんは「失敗を重ねて上手になる。よそをよく見て学ぶことを大切にしてほしい」と坂本さんの背中を押す。
_農業を始めるに当たり、鳴門市役所の担い手農地集積高度化促進事業を利用して借りた32㌃の農地に、県内の農家から譲り受けたハウスを建てた。ハウスは開けた土地にあり、風害が心配されるため園芸施設共済に加入。併せて、筋交いやタイバーなどの二重の備えも検討している。
_目標収穫量は約5㌧。今年は消費者に名前を知ってもらうため、全量を農産物直売所へ出荷する予定だ。12月の初出荷に向けて、現在は土壌作りや育苗などに力を注ぐ。坂本さんは「まずは販売実績をつくることが大切。今まで学んできたことを生かして、手に取ってもらえるようなおいしいイチゴを作りたい」と意気込む。

写真説明=9月の定植に向けて作業を進める坂本さん

農業共済新聞(7月)を掲載しました

備えて安心 園芸施設共済
いつ何が起こるか分からない
徳島県徳島市  西口 秀信さん
_高校卒業と同時に就農し、当初は両親とホウレンソウなどを栽培していましたが、乳牛を10数頭飼っていたので結婚後は妻と酪農業中心に移行しました。
_当時、両親に理解があり、月1回「休農日」というものを設け、子供と旅行に出かけることもできました。今思えば、その当時としては画期的な発想ではなかったかと思います。
_酪農を約10年営んだ後、イチゴ栽培を経て、園芸施設でのトマト栽培に転換しました。栽培方法は近所の方やJAの営農指導員のアドバイスを受けながら、一から手探りでのスタートでした。
_40年ほど前、トマト栽培のために秋に建てたばかりのハウスが、翌年の春の突風で倒壊しました。幸い、園芸施設共済に加入していたので、共済金で再建できました。
_昨年はハウスの被覆材が台風で被害に遭い、住宅の屋根部分も損傷しましたが、園芸施設共済、建物共済それぞれの共済金で修復することができました。農業は自然が相手で、いつ何が起こるか分からないので、農業保険へ加入していると安心して営農できます。
_就農して今年で六十数年たちますが、農業は水管理や肥培管理、防除も実際にやってみないと分からない部分が多く、さらに最近の異常気象などもあり条件が毎年変化するので、一年一年が勉強のつもりで続けています。また、農業と私生活の両立のため、以前の休農日のように、時間を見つけては妻とドライブや日帰り旅行へ出かけ余暇を過ごすようにしています。
_年齢のこともあるので規模拡大は難しいですが、消費者の皆さんが食べておいしいと思ってくれるような品質の良いトマト栽培を妻とともに続けていきたいです。

写真説明=秀信さん(左)と妻の光子〈みつこ〉さん(78)

職員採用について

職員採用情報
令和6年4月1日に採用する職員の採用試験を次のとおり行いますので、受験希望者はお申し込みください。
◎申込期間
令和5年8月15日(火)~令和5年9月29日(金)まで
◎第1次試験日
令和5年10月22日(日)
◎申し込み方法
_令和6年度徳島県農業共済組合職員採用試験案内」をダウンロードしていただき、熟読の上、必要書類を提出してください。
_また、受験申込書、履歴書は組合指定様式となっており、このホームページからダウンロードできます。(徳島県農業共済組合本所・各支所でも配布します。)
受験申込書(両面印刷)
受験申込書(記入例)
履歴書(両面印刷)
※インターネット、メールによる申し込みはできません。
※申込み記載事項の不備、切手不足、期間を経過した申込み等は、受理しません。
<<お問い合わせ先>>
〒770-8054 徳島市山城西二丁目74番地
徳島県農業共済組合 総務部総務課
℡(088)622-7731

農業共済新聞(6月)を掲載しました

良質の小麦で夢実現
おいしいパンを追求
吉野川市 吉野秀さん・真理子さん

_【徳島支局】「自然豊かな所で生きたい」という思いで吉野川市美郷に移住したのは、吉野秀さん(44)と妻の真理子さん(39)。夫婦で温めていた夢を実現し、2021年9月にパン店「moku moku note Bakery & Cafe」をオープンした。
_自然に近い農法で栽培された小麦を主に使い、全粒粉を多く配合したパンは薪窯〈まきがま〉で丁寧に焼き上げられ、奥深い香りや味わいを感じる。「酵母は自家製です。昔住んでいた町で作っていたときに比べ、自然あふれる美郷の水と空気のおかげで酵母菌がすごく活性化していると感じます」と吉野さん。
_店頭には、数種類の小麦の配合を変えて作る「杢〈もく〉」「玄〈くろ〉」の2種類を軸に、ナッツやベリーなどいろいろな素材を練り込んだパンが並ぶ。
_今年は小麦を提供してくれる農家が新たに増え、その小麦を使用したパンが秋ごろには味わえる見込み。吉野さんは「地元の農家さんが大事に育てた質の良い小麦を、おいしいパンにして消費者に届けます。おいしいパンをシンプルに追求し、純阿波産(100%徳島)を目指したい」と話す。

写真説明=自慢のパンを手にほほ笑む吉野さん夫妻

農業共済新聞(5月)を掲載しました

ハウススダチ 例年超える収量に
徳島県佐那河内村 森下嘉文さん
コロナ禍、燃料高騰、獣害……リスクに備え収入保険加入

_【徳島支局】2023年5月上旬、徳島県の特産品ハウススダチの出荷が佐那河内村で始まった。同村の森下嘉文さん(69)は、ハウス10㌃、露地40㌃を手がけ、ハウスは6月末まで、露地は8月下旬から9月末まで収穫し、JA徳島市を通じ全国へ出荷される。出荷が始まったハウススダチは、露地スダチと比べ果皮が薄めで果汁が多く、まろやかな酸味が特徴だ。

_森下さんのビニールハウスでは、12月末に被覆、その後は加温して温度を管理する。露地栽培は5月が開花期だが、ハウス栽培にすると2月に開花。開花期間中には通風換気を徹底し、防除に努める。
_「資材・燃料・薬剤などが高騰して、ものによっては1・5倍や2倍に価格が上がりました。秋から冬にかけて出荷する貯蔵スダチを含め、年間を通し消費者にスダチを届けるため、ハウス栽培は欠かせない方法です」と森下さん。
_20年のコロナ禍の際は、飲食店などの需要が減り、スダチの価格は5割ほどに落ち込んだ。
_「このような価格の減少は過去にはありませんでした。気候も変わり何が起こるか分からないため、もしものときの備えとして収入保険に加入しています。最近では露地栽培のスダチの新芽をシカに食べられ、収穫量が減り、木の枯死が見られます。この場合も一定の収入低下があれば補償してくれるので安心です」
_22年の収穫量は、不作により例年の4割程度となった。不作となったのは県内全域で、スダチを原料とする商品の販売を休止する企業があった。「何年も栽培していますが、初めての出来事でした。流通量が少ないため、消費者の手に届きにくい状況でした」
_森下さんは「今年のハウススダチは例年より量が多く、露地スダチは花が多いので昨年の倍以上の収穫量を見込んでいます。爽やかな食味をより多くの方に楽しんでいただきたいです。スダチが台所の脇役から主役になることを期待しています」と話す。

スダチはトゲがあるため長袖で収穫する森下さん JA徳島市での出荷作業。露地とハウス合わせて年間約13㌧のスダチを出荷する

農業共済新聞(4月)を掲載しました

軌道に乗る和牛繁殖・肥育
椿町ブランドつくりたい
阿南市 米山博城さん
_「偶然出合った1頭から和牛繁殖の道が開かれた」と話す米山博城〈よねやま・ひろき〉さん(45)。阿南市椿町で黒毛和牛を約80頭飼育する。
_県外の大学を卒業後、祖父の代から続く牧場を継ぐため椿町へ帰郷。2016年まではホルスタインを肥育していたが、枝肉価格に対して飼料・おがくず代が高く、経営の難しさを感じていた。
_そんなときに先輩の畜産農家から黒毛和牛の導入を勧められ、雌の和牛を1頭だけ購入。その雌牛が産んだ最初の黒毛和牛が、21年に食肉市場で優秀賞を取り、枝肉の価格や出来に手応えを感じ黒毛和牛の増頭を決意した。
_妻のふみさん(45)が家畜人工授精師の資格を持っていたことが幸いし、現在では繁殖用の黒毛和牛を17頭まで増頭。産まれた牛の肥育・出荷も軌道に乗っている。
_今後は母牛としての優秀な血統を研究・選別しながら飼育し、より品質の良い牛を出荷していきたいという米山さん。「いつかは地名を冠したブランド牛をつくり、自身の取り組みや過疎化の進む椿町の名を全国に発信していきたい」と話してくれた。

「大きく育ってほしい」と期待を込めて餌やりをする米山さん