カテゴリー別アーカイブ: 新聞(共通)

カリーノケール 液状堆肥が効果、バイヤーに好評

鳴門市 ㈱野本農園
_鳴門市大麻町の株式会社野本農園の代表・野本勝一〈のもと・かついち〉さんは、カリーノケール1.5㌶をメインにさまざまな野菜を栽培。カリーノケール栽培は野本農園の従業員5人に加え、県内の農家数人とグループで取り組んでいる。
_野本さんは4年ほど前から、廃棄されるワカメの刈り根を原料とした堆肥作りに着手。帯広畜産大学と北海道大学教授の協力で、液状堆肥「see+(シープラス)」が完成した。
_see+を使用して栽培したケールは、「阿波ケール」の名前で東京の百貨店や高級スーパーで販売。バイヤーからは「野本さんのケールは、ほかにはない野性味があって、露地栽培で鍛え上げられた見た目と大きさが良い」と評価され、規格は自由に任されているという。
_自社で栽培していない作物でのsee+の効果を、ほかの農家に試してもらった。野本さんは「ナスはつやがきれいに出て、しおれにくくなった。ジャガイモ『インカのめざめ』はいつもより大きなサイズが収穫できた。イチゴやアスパラは収穫量が増えたと、さまざまな声をいただきました。実際に使って効果を実感していただきたいです」と自信を見せる。

写真説明=カリーノケールを手に野本さん

特産品を活用 行列ができるジェラート店 交流施設と相乗効果、地域振興のチャンス

徳島県佐那河内村 SANAGOUCHI GELATO
__毎週末に大行列ができる佐那河内村の人気店「SANAGOUCHI GELATO(佐那河内ジェラート)」。同村の特産品「ももいちご」やキウイフルーツなどを使ったジェラートのほか、チョコレートやナッツなど春、夏、秋と季節に応じた9種類がショーケースに並ぶ。滑らかな口当たりと自然な風味が感じられる優しい味わいが好評だ。週末と祝日の営業で、オープンからわずか39営業日で約1万6000人もの来客があった。

__同店を経営するのは、徳島市内の洋菓子店「クリスティーヌ」代表の筒井匡〈つつい・ただし〉さん。一般財団法人さなごうちの誘致を受け、2021年4月にオープンした。
__県内でジェラート店を開きたいという夢を持っていた筒井さんは、「市街地から車で約30分、のんびりとした場所でしばし時間を忘れ、こだわりの手作りジェラートをゆっくりと味わってもらいたい」と笑顔を見せる。
__「『おいしいジェラート屋さんへ来た』で終わらせるのではなく、佐那河内村の魅力をたくさんの人に知ってほしい」と話すのは、同じ敷地内で地域交流拠点施設「新家〈しんや〉」を運営する一般財団法人さなごうち代表理事・上野浩嗣〈うえの・ひろつぐ〉さん。新家では、平日は同村が誇る棚田米を使ったランチ(現在は弁当)を地元のグループが提供する。週末には地元産野菜の販売や屋台の出店など、地域住民の交流拠点や村外の人を呼び込む場として一役買う。
__上野さんは「街から少し離れてはいるが、徳島で有名なクリスティーヌさんなのでお客さんが来るに違いないという確信がありました。この実績を踏まえ、街から少し離れた立地でも、話題性があればお客さんは来てくれると感じた経営者が、佐那河内村に店を構え村がにぎわってくれればうれしいですね。地域振興のチャンス」と意気込む。
__「秋に向けた新フレーバーを考案中で、季節とともにフレーバーの種類を変えていくので、ぜひ佐那河内村に足を運んでもらいたい」と筒井さん。上野さんと2人で、村の魅力をさらに伝えていくにはどうすれば良いかと、今後の展開について話に花を咲かせている。

▽営業日=土日祝日(冬季休業)▽営業時間=午前11時~午後5時(完売した場合は早めの閉店あり)


写真説明上=新型コロナウイルス感染症対策のため少人数ずつの入店となっている
写真説明下=「これからも佐那河内村の魅力を伝えていければいいですね」と話す筒井さん(左)と上野さん

果物産地をアピール  阿波市 天然温泉御所の郷「日々食彩」

_阿波市土成町の温泉施設「天然温泉御所〈ごしょ〉の郷〈さと〉」内の売店「日々食彩〈ひびしょくさい〉」では、地元阿波市を中心に吉野川市、上板町などで生産された野菜や果物などを販売している。スタッフの牧本光代〈まきもと・みつよ〉さんは「土成町は果物の生産が盛ん。季節ご_「これからの時期はブドウが特にお薦め。種無し『デラウェア』、大粒の『藤稔〈ふじみのり〉』や『ピオーネ』。8月のお盆前からお彼岸ごろにかけて『シャインマスカット』も出品されます。さとふる(ふるさと納税サイト)の返礼品にも使われている人気の商品で、贈答用の需要も高まってきています。今年もすでに問い合わせがきています」
_青果のほかに、施設内にある「レストラン秋月」で作った総菜や、手作り焼き菓子、御所名物たらいうどんの生麺なども販売されている。

季節のおすすめ商品を手にする牧本さん(左)とスタッフ

_

〈収入保険 私の選択〉 徳島県三好市  髙尾 稔さん

リスクに備え営農に安心感
_妻(早苗さん)と従業員2人で菌床シイタケを栽培しています。後継者として就農したのではなく、まっさらの状態から設備をそろえ、新規就農して30年です。
_就農した最初の1、2年は売り上げがどんどん伸びて面白かったのですが、その後は安い輸入品がたくさん入ってきて、価格が一気に下がってしまいました。
_現在は落ち着いてきたものの、そういった経験から収入保険には開始当初から興味はありました。野菜価格安定制度の利用者が少人数で、抜けてしまうと維持が難しくなることもあり収入保険への加入は見合わせていたのですが、NOSAI職員が何度も足を運び親身に制度説明してくれたのが決め手で加入しました。
_収入保険加入後、酷暑による高温で菌床にカビが発生して廃棄せざるを得なくってしまった年がありました。作り直しをした上に、出荷できた分の単価が下がってしまい、思いもよらない減収減益になりました。NOSAI職員のサポートのもと被害申告をして、確定申告書を提出するとすぐに補てんしてくれたのでとても助かりました。
_新型コロナウイルスの影響は、目に見えて大きなものはありませんが、平均単価が全体的にじんわり低くなっていると感じます。外食需要が減った分、家庭でどれくらい消費されているのか不透明なので、不安がないとはいえません。このような状況でも、収入保険に加入していれば営農を続けることができるという安心感があります。
_就農当初を振り返り、収入保険が当時あったら、もっと思い切った設備投資をしていたのにと考えることもあります。安心感を持って営農できるので、知り合いの農家には加入を勧めています。
_今から就農する人や、規模拡大、新品目に挑戦する人には特にお勧めです。自分自身、いつ体を壊すか分かりません。そういった意味でも備えがあるというのは大きいと思います。まだまだ元気で頑張って、良いシイタケを作っていこうと思っています。

_

エダマメ新ブランド「あわっちゃまめ」 生産拡大に意欲

_「あわっちゃまめは、親しみやすい最高の名前だ」と話す徳島市国府町の前川久〈まえがわ・ひさし〉さん。会社勤めをしながら、家族で40年近くエダマメを生産してきた。退職後は生産面積を徐々に拡大し、現在は1㌶栽培する。
_前川さんはJA徳島市枝豆統一部会長を務める。同JAで以前から盛んに栽培していたエダマメ「湯あがり娘」は、産地のPRにはつながっていなかった。「産地として徳島県をもっとアピールしたい」という思いから、徳島県産のエダマメブランドを立ち上げようと4年ほど前からさまざまな品種を試した。
_品種ごとの播種・収穫期間を定め、土づくり・トンネル栽培での管理の注意点や病虫害対策などの栽培管理を厳格にして、品質向上に努めてきた。
_前川さんは「あわっちゃまめは今年から販売が開始され、茶豆の香ばしい香りが広がると好評だ。現在はJA徳島市の販売だが、県内全域で協力し栽培できれば出荷量や出荷時期が拡大し、市場の信頼とブランド力が高まるのではないか」と生産・販路拡大に意欲を見せる。

写真説明=「徳島県のエダマメブランドとして、あわっちゃまめを育てていきたい」と前川さん

素牛選び・飼料を重視、飼養管理を確立

__阿南市那賀川町の「のべ牧場」は、清く澄んだ空気と水、自然に恵まれた環境下で、無添加・無薬を心がけ飼育する黒毛和種肥育牛「阿波牛」を出荷。市場で高い評価を得るとともに、精肉の直営店「阿波牛の匠のべ」は開店と同時に整理券待ちの列ができるほどだ。代表を務めるのは延隆久〈のべ・たかひさ〉さん、約350頭の阿波牛を飼育し、全国100店舗以上の直売店に卸している。

__隆久さんの父・弘明〈ひろあき〉さんが「これからは畜産の時代になる」と、肥育用ホルスタイン5頭を飼育したところから牧場経営が始まったという。以降、地域の需要に合うよう品種を変え試行錯誤を重ねながら約180頭にまで増頭した。
__牛肉の売り上げを増やすため、他店よりも安価で提供することで店舗への客足は増えた。店で待つだけではなく、保冷車に商品を積み込み、缶詰工場や縫製工場など大勢の人がいる場所に、毎週のように営業をかけていった結果、売り上げは増え、それに伴い従業員も増えていった。
__しかし2001年、国内でBSE(牛海綿状脳症)が発生した影響で、売り上げが前年度の40~50%も減少。「肉屋を辞めようか、従業員に辞めてもらい夫婦で切り盛りしようか」と悩む日々が続いたという。
__「このままではいけない」と、店の経営に追われる時間が減ったことを利用し、子牛の導入に力を入れた。九州・中国地方の子牛市場に通い、系統、体つき、顔、毛並み、皮の張りなど、どういった牛が結果を出せるのか改めて勉強したという。
__自身で買い付け、飼育、販売した結果が実を結び、同時期に出荷した牛のほぼ100%がA4ランク以上を獲得。阿波牛と名乗る基準を満たしたことで、店舗の屋号を現在の「阿波牛の匠のべ」に変え、経営はさらに拡充していった。
__「自分の牧場と肥育スタイルに合った素牛(もと うし)を見極めて買うのが、一番重要で大きい責任。父から教わったノウハウを基に、飼料メーカーとともに飼料の種類や給餌のタイミングなどを試行錯誤の末に確立し、育て方を均一化できたことで、現在は300頭を超える牛を従業員に安心して任せられるようになりました。今は従業員が牛を育てやすい環境を整えることに気を配っています」

写真説明上=とくしま特選ブランドの認定証を手に隆久さん
写真説明下=「阿波牛の匠のべ」の開店前の行列

ホウレンソウ安定出荷 夏季の栽培方法確立

__5月から10月まで、ホウレンソウをハウスで栽培する石井町の田幡裕さん。徳島県では、冬場の露地栽培が盛んだが、真逆の夏の暑い時期を狙ってホウレンソウを栽培するのは珍しい。
__田幡さんは「夏、店頭に並ぶホウレンソウは、どれも県外産ばかり。どうにか地元のものをと思い栽培し始めました。JAや種苗メーカーの協力のおかげで栽培方法を確立することができ、出荷までこぎつけることができました」と話す。
__ハウス全体に目が行き届くようにと、20㌃の圃場にハウス5棟を所有。安定した出荷量を確保するため、ハウスごとに品種や播種期をずらし、1週間に1棟ずつ収穫する日程を1シーズンに3ターンほど繰り返すという。
__「ホウレンソウは暑さに弱いので、水の管理に一番注意しています。ハウス内の温度や育ち具合、土の乾き具合を観察して水やりをしています」と田幡さん。自作した灌水施設をフル活用し、ハウス内での部分的な水やりにも取り組む。
__「品質を高めて、もっとおいしいホウレンソウを食べてもらいたいです。夏場の体力維持に、ホウレンソウは最高ですよ」と話してくれた。

__

〈特集〉制度改正で補償充実 園芸施設共済で備える

__台風や集中豪雨による気象災害が近年は頻繁に発生し、農業用ハウスに甚大な被害が発生しています。園芸施設共済は昨年の制度改正で、10割まで補償できるようになったほか、損害額1万円から共済金の支払対象になるなど、充実した内容となりました。今号では、園芸施設共済に加入する農業者の声を聞きました。

安心感があれば挑戦できる
徳島県阿南市  湯浅 幹根さん
__就農前は県外で会社勤めをしていましたが、父の体調不良をきっかけにUターンし、スダチ栽培を始めました。2016年に補助事業を受けハウスを新設しました。ハウスの新設後、親族の勧めで2棟(17㌃)を園芸施設共済に加入しました。17年9月の台風18号では、強風に押され、建てて2年足らずのハウスは地盤が安定していなかったため、基礎から浮き上がりました。
__園芸施設共済に加入した当時は、まさか自分が被害に遭うとは想定しておらず、就農後すぐの出来事だったので不安が大きかったのを覚えています。万一への備えが経営の安定につながると身をもって感じ、保険加入と同時に筋交いなどの強風対策の重要性にも気付きました。
__徳島県のスダチは、全国に流通する出荷量の98%を占めます。一年を通して安定した供給量を出荷するには、ハウスでの加温が欠かせません。現在、全国の料理店などで使用されていても、安定した供給がないとほかのかんきつ類で代用されてしまいます。
__万一の事態があっても立て直すことができるという安心感があれば、ハウス栽培に挑戦しやすいのではないかと思います。今後は、今の規模を維持し、阿南市の特産品であるハウススダチを守っていきたいです。

_

シャクヤク 産地の維持へ若い世代に期待

_那賀町相生地区は西日本有数のシャクヤクの産地だ。相生シャクヤク部会部会長の下川浩一〈しもかわ・こういち〉さんはシャクヤクを栽培して20年になる。現在はハウス・露地合わせて25㌃で、「ルーズベルト」「滝の粧」など5品種を栽培。ハウスは3月中旬から4月中旬まで、露地は4月中旬から5月下旬ごろまで栽培・出荷する。
_美しい女性をたとえることわざに「立てば芍薬〈しゃくやく〉、座れば牡丹〈ぼたん〉、歩く姿は百合〈ゆり〉の花」とあるように、シャクヤクはすらりと伸びた茎の先に咲く花が美しく、母の日に贈る花として人気だ。
_JAアグリあなんの井岡明徳〈いおか・あきのり〉さんは「母の日用として淡いピンク色のルーズベルトだけで4万本が出荷されている」と話す。
_「灰色かび病の防除にはとても気を配り、収穫のタイミングが難しい。早すぎたら花が咲かないことがあるし、遅すぎたら花が開いて出荷できない」と下川さん。「今後は面積が維持できるよう、栽培をやめたり面積を減らしたりする人の園地を、30代、40代の若い人が継ぐように頼んでいる」と話してくれた。

 

 

 

 

 

写真説明=シャクヤクを収穫する下川さん

優れた農産物 もっと売り込もう  商品開発に住民団体が一役

徳島県阿波市「あわcolor」
_阿波市内外の若手生産者、後継者たちを中心に結成した住民団体「あわcolor(カラー)」では、同市の農産物の特色を生かした商品開発に取り組んでいる。代表の三木みずほさんは、結成のきっかけを「阿波市は地元の人が思っている以上に素晴らしい素材にあふれています。そのことをPRしたいけれど良い方法が分からないという話を聞いて、加工や販売についての経験を共有することで、お手伝いできるかもしれないと思ったからです」と話す。

_昨年8月の団体結成から7カ月、試作と改良を重ね、待望の商品第1弾が完成した。グルテンフリー、化学調味料無添加で食の安全性を重視した商品、アレルギーがある人でも安心して食べられる商品など、阿波市産の素材を使った加工品10品だ。メンバーの得意分野を生かした商品が形になったときの喜びはひとしおだった。
_地域ブランドとして発信していきたいという商品の数々は、毎月第2日曜日に開催する「つきいちマルシェ」「とくしまマルシェ」などのイベントに出品し、大好評だという。
_各イベントでの販売のほか、地域のサポートセンターを通じて実際に商品を手に取ることができるような機会も設けている。
_三木さんは「素材の良さは何よりの強み。阿波市には、香りや甘味に優れた果物、農薬使用を控え手塩に掛けた野菜など、まだまだたくさんのおいしいものがある」と話す。
_今後については「さまざまな認証を受けるなど、こだわりを持って事業に当たっている方も少なくない。同じ思いを持つ仲間のつながりが広がっていき、お互いの良さを伸ばしサポートしあえるような関係づくり、若手が活躍していける土台づくりの役に立っていけたらと思う」と三木さん。「それがさらに阿波市のPRにつながっていけば、もっとすてき。これからも永く続けていけるよう、あわcolorをみんなで大事に育てていきたい」と笑顔で話す。
_また、ホームページを整備するなどして「通信販売などの展開も視野に入れている」と意気込んでいる。

_

写真説明上=イベントで出店するメンバーら。前列右から4人目が三木さん
写真説明下=あわcolorが開発した商品