〈特集:収入保険で備える〉 つなぎ融資を経費に充当

〈特集:収入保険で備える〉 つなぎ融資を経費に充当

自然災害や病虫害などによる収穫量の減少だけではなく、農業者のけがや病気、新型コロナウイルス感染症の影響による販売価格の低下などで収入が減少した場合も補償対象になる収入保険制度。補償を受けた農業者に、加入のメリットや制度の魅力などについて聞きました。

コロナ禍、けが、資金繰り不安
つなぎ融資を経費に充当
徳島県鳴門市  北野 美紀さん
ハウススダチを親の代から栽培して40年になります。3月から6月まで収穫して、徳島北農協から主に京阪神、東京に出荷されます。
昨年のコロナ禍では、飲食店の営業自粛などの影響でスダチの需要が低下し、例年の4割ほど単価が下がりました。同じ年の5月には母親がけがをして、作業人数が減ったため収穫量が減少しました。経費の支払いの時期で資金繰りの不安があったため、つなぎ融資を申請しました。
申請は、NOSAI職員に価格低下幅や収穫量を伝えるくらいで、難しい手続きはありませんでした。資金が必要な時期までにつなぎ融資を受けられたので、ハウスを加温するためのガス代やビニール代の支払いに充てることができました。無利子で受けられるところが農家としてとても助かるポイントですね。
農業大学校の同級生だったNOSAI職員の勧めがあり、お付き合い程度の気持ちで加入をしたところ、予想に反して初年から保険金を受け取ることになりました。
今年3月には私が作業中にけがをしてしまい、2週間ほど入院しました。3月はハウススダチの単価が一番高い時期なので、今年の収入でも減少を見込んでいます。
自然災害や施設の故障、けがなど、予測できない事態はたくさんあると実感しています。幅広いリスクに備えられるので、収入保険に加入していて本当に良かったと思っています。
▽ハウススダチ36㌃

写真説明=「予期せぬことを予測して備えることが、大切だと感じています」と北野さん