なると金時 ブランド維持へ家族経営の強み 技術を検証する余裕を創出

なると金時 ブランド維持へ家族経営の強み 技術を検証する余裕を創出

***鳴門海峡近くの海のミネラルを多く含んだ砂地と、温暖で降水量の少ない気候が、「なると金時」の高い糖度を生み出す。鳴門市大津町の尾原健一さんは、両親と妻、息子の孝嘉さんの3世代で、なると金時を栽培。家族経営の強みを生かし、畑ごとに植え付け期を変え出来栄えを比較するなど、品質の向上に余念がない。
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* 同市で栽培されたサツマイモは「なると金時」というブランド名を冠され、主に関西圏で多く消費されている。「安納芋」がしっとりした味わいであるのに対し、なると金時はホクホクとした食感が特徴で、天ぷらや焼き芋など用途は幅広い。「皆さんの好みに応じた食べ方をして、その味を楽しんでほしい」と尾原さん。
* なると金時の品質維持の裏には、並々ならぬ研鑽の跡がある。新たに開発された農業資材なども取り入れているが、畑の環境にそれが合致しているかは、試しながらになるという。尾原さんは「より良い方法は常に模索しているが、品質低下を招くような妥協は一切しない」と話す。
* 尾原さんがそのような手間暇をかけられる背景には、経営をともにする家族の存在がある。現在の3世代営農は、人手の数なら近隣のサツマイモ農家の中でも随一だ。特に、2019年に農業大学校を卒業して営農に加わった孝嘉さんの影響は大きく、「仕事に余裕が生まれ、できることが増えて栽培面積は拡大した」と話す。
* 従業員を雇用するのも良いが、ハウス栽培などと異なり、天候などで就労時間が左右される畑作では、「やはり家族経営の方が融通が利き、作業に集中できる」という。孝嘉さんは農業大学校で学んだことを生かし、経営のさらなる好転に意欲的だ。

写真説明1=「おいしいと言ってくださる消費者さんの声が何よりもうれしい」と健一さん
写真説明2=サツマイモをサイズ別に選別する孝嘉さん