爽やか まろやか 美郷の梅酒 生産量落とさずファンに応える

爽やか まろやか 美郷の梅酒 生産量落とさずファンに応える

* 吉野川市美郷にある梅酒製造所「徳長梅酒製造場」では、ブランデーベース・芋焼酎ベースなど、酒類に合わせて梅の品種を変えた梅酒を計2千㍑漬け込む。代表を務める徳長大樹さんのお薦めは、「なると金時」を使った芋焼酎ベースの「トクロング」。梅の爽やかな酸味が口いっぱいに広がり、芋のまろやかな甘味と香りが鼻に抜ける。それぞれが互いの良さを引き立たせあう、徳島らしさを感じることができる逸品だ。

* 勤めていた会社を2015年に辞め、梅酒特区の美郷地区に徳長梅酒製造場を構えた徳長さん。美郷の梅酒のおいしさに魅了され移住を決めたという。大きな決断をした当時の気持ちを「会社勤めも自営業も、どちらもリスクはつきものだと思っています。それなら好きなことをしようと考え行動に移しました」と振り返る。
* 妻の杏実さんは、新しい環境での生活について「会社勤めをしているときより一緒にいる時間が増えたので、家族仲がもっと良くなりました。支えてくれるご近所さんもいて、いい場所に来たなと感じています」と前向きに話す。
* 「日本一小さい梅酒造」を称する製造場では、商品のアイデアを家族が出し合う。酸味控えめが好みという杏実さん向けに、甘口梅酒「Tokunaga umechu(とくながうめちゅ)」を考案した。ラベルデザインと命名は杏実さんが手掛けた。
* 新型コロナウイルスの影響で販売数の減少が懸念されたが、生産量はあえて落とさなかった。負けたくないという強い気持ちを持っていたからだ。
* 徳長さんの梅酒は、ふるさと納税の返礼品としても人気で、新酒のお披露目を毎年楽しみに待っているファンが県内外にいる。
* 「アルコールは嗜好品なので、極論を言えば無駄なものかもしれない。しかし、無駄のない生活は寂しく、生きてはいけるが味気のないものになる」という思いを込めた徳長さんの梅酒は、日常にささやかな彩りを添えてくれる。

写真説明1=商品を手に徳長さん家族
写真説明2=左から、ブランデーベース「TOKAMI」、焼酎ベース「EMITAME」、芋焼酎ベース「トクロング」、アルコール度数控えめ甘口梅酒「Tokunaga umechu」