1世界農業遺産に登録された「傾斜地農耕システム」で有名になった「にし阿波」地区では、昔から知恵と工夫を凝らし、環境に適したソバや雑穀などが栽培されてきた。
1つるぎ町の磯貝ハマ子さんは、そのそば殻の灰汁を効かせることが、こんにゃく作りのポイントになっているという。
1磯貝さんの自宅で行われるこんにゃく作り体験教室には、小さい子どもや何度も通ってくれる人がいる。薪を使い、大きな窯でこんにゃくを炊くのは、時間がかかるうえ体力も必要だという。しかし、ガス火で作る場合とは食感も味も変わるそうで、「おいしいものを作るのは簡単ではなく、ひと手間もふた手間もかけることが大切なんです」と話す。
1磯貝さんの作るそばや野菜は、夫婦で営む「そらの宿」でも提供され、県外から来る宿泊客に「素材の味がしっかりしていておいしい」と好評だという。「どれだけ大変なことでも、自分たちの気持ちが相手に届くことがうれしい」と磯貝さんは話している。
1写真説明=自家産のそば殻の灰汁を使用。「これでないと、この味は出せません」と磯貝さん