ストレスなく目いっぱい食べて最大限成長する配合飼料  肥育期間大幅に短縮

ストレスなく目いっぱい食べて最大限成長する配合飼料  肥育期間大幅に短縮

徳島県勝浦町 原田 茂さん   繁殖・肥育牛700頭

*均一化で事故低減にも
* 「不安定要素が多いこれからの畜産を考えると、ざっくり言えば販売価格を上げるか、適正価格でも肥育コストを下げるかどちらかだと思いました」と原田さん。まず販売価格を上げる努力をしていったものの、思いのほか差益が少なく、このやり方では将来性を見いだせないと判断した。
* そのため早期出荷を目指し試行錯誤を重ねたが、これを実現する上で課題となる個体ごとの成長差の解消も一朝一夕には成し得ない。最終的に飼料メーカーへ独自配合の飼料を発注し、牛の体調に合わせて飼料の量を変えるなど、細かな配慮を繰り返し均一化を進めた結果、肥育期間の短縮だけではなく、事故低減にもつながっていった。
* 原田さんは「早期出荷を実現する以前に、消費者の方、特に子どもや女性に評価される肉を作りたかった。それに加えての早期出荷。道のりは厳しかったですよ」と振り返る。
* 「脂には甘味、赤身にはうま味が出るようにしました。しかし、そんな餌でも牛本来の成長に負担をかけてはいけない。私の感覚では、一般的な配合飼料は『牛にとって重い』気がして、牛がストレスなく目いっぱい食べて、最大限成長してくれるような配合飼料と飼育方法を目指したんです」
*日常作業の手間を削減
* 原田さんの飼養頭数は、繁殖牛が黒毛和種約100頭、F1約10頭、肥育牛が黒毛和種約130頭、F1約440頭。約700頭をほぼ1人で飼育するが、一般的な1人当たり飼育頭数と比べると桁外れに多い。省力化するため自動給餌機や大型機械の導入、日常作業では人が動く手間をできるだけ削減することにも努めている。
* 「早期出荷は、飼料コストの削減のほか、肥育結果が早く分かることで飼育方法への反映が早くなるなど、かなりのメリットがありますが、それだけではまだ経営を安定させにくい。肥育技術や畜産に関わるすべての環境も含めて、自分が今していることがどこにつながっていくか、どういったビジョンを持って進んでいるかを常に考えながら経営をしていく必要があります」と話してくれた。

写真説明=出荷目前となった和牛と原田さん