徳島県阿波市 大野 稔之さん
手入れと目配り徹底/県内外にリピーター
_阿波市市場町の大野稔之さんが栽培するオリジナルブランド「いちごトマト」は、糖度8度以上の高糖度フルーツトマト。農産物直売所「JA夢市場」(市場町大野島)では、店頭に並ぶとすぐに売り切れてしまうほどの人気商品だ。
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_「十数年前に脱サラし、農業の大先輩である父に教わりながら就農した」と話す大野さん。家族4人で30㌃のビニールハウスでいちごトマトを栽培している。 _いちごトマトを初めて出荷するときに、ネーミングについて家族で話し合った際、母親の「真っ赤でイチゴみたいな形をしとるね」の一言から命名した。糖度の検査をしながら、8度以上のものをいちごトマトと限定。例年11月から6月ごろまで出荷が続く。
_栽培では「基本通り、収穫して手入れしてという作業の繰り返しだが、成長スピードが速い品種なので、こまめな手入れと目配りを欠かさないようにしている」という。 「病気が発生すると派生的に影響が及ぶので、収穫期は特に病気の兆候がないか気を配っている。色づきを見ながら熟成のタイミングを計るが、光の加減などで色みの判断が難しく、最初のころは慣れるまで父に怒られたこともあった」
◎販売整理券を配布
_JA夢市場では朝から並んで買いに来る人もいて、週末は販売整理券を配布することもあるという。県内外のリピーターによっていちごトマトの認知は広がっている。大野さんは「県南や他県からも足を運んでくれたという話が励みになる。うちのトマトが好きと言ってくれる方のためにも、味を落とさないようにしたい」と意気込む。
_大野さんは、夏場は阿波市の若手生産者メンバーたちと特産「美~ナス(翡翠〈ひすい〉ナス)」も栽培。「農産物を通じて阿波市のPRができて、農業、地域が元気になるとうれしい。地元でこれからも長く愛されるように、誠実に頑張っていきたい」と話している。
写真説明上=イチゴのように赤くつやのある「いちごトマト」を手に大野さん
写真説明下=色づきを見ながら出荷のタイミングを計る大野さん