待っている人がいる限り 昔懐かしの田舎みそを製造

待っている人がいる限り 昔懐かしの田舎みそを製造

_高齢・過疎化が進み、今ではあまり造られなくなった農家自家製みそ。三好市井川町農家生活改善推進協議会のなでしこグループ(代表=高畑輝子さん)では、「田舎みそ てるちゃん」を造って販売し、山間地域の高齢者に元気を与えている。

_「みそ造りは大変ですが、『おいしかったよ。また、頼むわな』と言われると、うれしいものです」と話す高畑さん。なでしこグループは、地域の活性化を目的に現在、高畑さんをはじめ5人で活動している。
_9割以上が山間地の井川町井内(いのうち)地区ではかつて、どの農家でも大豆を栽培し、みそ、しょうゆ、豆腐を作っていた。しかし、高齢・過疎化が進む今では、みそを造る農家はほとんど無くなった。
_「それなら私たちのグループで造って販売しよう」と思い付いた高畑さんらは、みそを造っていた時の経験を生かしてみそ造りをすることに。
_当時の自家製みそは、保存が利くようにと塩分を多く入れた塩辛いものが主流で、家ごとに味や風味の違いがある。

◎防腐剤不使用塩分は控えめ

_最初は、自分が思った味にならずに苦労したが、みんなが懐かしいと思える風味で、「このおみそ汁を飲むとほっとする。おいしいわ」と言ってもらいたい、そして、健康のことも考え、原材料には大豆、米、麹(こうじ)、塩だけで防腐剤を一切使用しないみそを造りたいという高畑さんの強い思いで、自慢の逸品が生まれた。
_塩分を控えて味に深みを出す調合が何より難しかったというが、現在は「田舎みそ てるちゃん」としてイベント会場や直売所で販売。また、個人販売も行っている。
_「今、一番苦労しているのは原料の購入です。メンバーが高齢になり大豆栽培をしていないので、大豆は仕入れをしていますが、仕入れ値が高騰する中、みその値段はほぼ据え置き状態です。みんなが待ってくれていると思うと、なかなか値段は上げられない。厳しいですね」と話す高畑さん。
_仕込んだみそは10カ月ほど熟成させた後、繰り直しの作業を行う。このことで、きめ細かくなる上にコクが出て、味に深みが増すという。今年10月以降に店頭に並ぶ予定で、みそ造りの作業は3月ごろまで行われる。
_高畑さんは「いつまでみそ造りができるか分かりませんが、後継者に伝承しながら日々、おいしいみそ造りをするのが今の私の楽しみです」と笑顔で話してくれた。
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写真説明上=蒸した麹を広げる高畑さん
写真説明中=高畑さん左とメンバー。塩、麹と大豆を混ぜて専用機に入れてきれいにつぶす
写真説明下=「田舎みそ てるちゃん」