_那賀町相生地区で阿波晩茶を生産している相生晩茶振興会会長の藤川精一さんは、妻の愛子さんと畜産業を営む傍ら、35㌃の畑で伝統製法による相生晩茶作りを継承している。
_相生晩茶は摘み取った茶葉を大きな釜でゆで、茶すり機ですり、大きな木桶(きおけ)に1~2週間漬け込んで乳酸発酵させた後、天日でカラッと乾燥させる昔ながらの独特の製法で作られる。上勝町の阿波晩茶と共に全国でも珍しい「後(こう)発酵茶」だ。
_国の文化審議会は1月19日、阿波晩茶を含む「四国山地の発酵茶の製造技術」が、記録作成等の措置を講ずべき無形民俗文化財として選択するよう文化庁長官に答申した。
_「発酵茶は人気がある一方、高齢化で生産者は毎年1、2軒減っている。全て手作業で行っているので、これ以上製造量を増やせないのが現状だ」と藤川さん。今回の答申で、阿波晩茶継承の機運が高まることを期待しており、「『藤川さんのお茶がいい』と言って待ってくれている方がいる限り、できるだけ続けていきたい」と話す。
写真説明上=「茶摘みも全て手作業。もちろん無消毒」と藤川さん夫妻
写真説明下=剪定(せんてい)した枝をチッパーで粉砕する藤川さん