急傾斜地の伝統農耕でソバ栽培 農業遺産を次世代へ

急傾斜地の伝統農耕でソバ栽培 農業遺産を次世代へ

_つるぎ町貞光猿飼(さるかい)集落の西岡田治豈(にしおかだはるき)さんは、妻・節子さんと標高300㍍、傾斜30度の畑20㌃でソバを栽培している。この急傾斜地で代々、葉タバコや雑穀、果樹を栽培していた西岡田さんは「ソバの花が満開の毎年9月下旬から10月中旬に観光農園としてソバ畑を一般開放し、平日でも多くの方が来られました」と話す。
_刈り取ったソバは2週間ほどハゼ掛けし、実を鍋で炊いてムシロで干す。脱穀した後、陰干しして乾燥させ、「ソバ米」として販売している。ソバ米をだし汁でたくさんの野菜と煮込んで食べるソバ米雑炊は、徳島県の郷土料理の一つだ。
_畑には、秋に収穫したカヤを円錐(えんすい)状に積み上げて保存するコエグロ(干しカヤ)が点在し、「急傾斜地での土の流出を防ぐために畑に敷く他、ソバの根元にまくと肥料にもなります」と節子さん。急傾斜地農耕のシンボル的な存在だ。
_つるぎ町など県西部4市町に伝統的に続く「にし阿波の傾斜地農耕システム」が今年3月に日本農業遺産に認定され、世界農業遺産を目指して盛り上がりを見せている。
_西岡田さんは「傾斜地農耕を実感してもらい、伝統的な農耕祭事も楽しんでもらえるよう、次世代につなげていきたいです」と話してくれた。

写真説明=ソバ畑に点在するコエグロの横で西岡田さん夫妻

2017113

 

 

 

 

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