〇予冷庫設置し鮮度保持 地域貢献を目標に
__「株式会社徳島ハーベスト」を設立して3年を迎える、阿波市吉野町の竹内稔さん(代表取締役社長)は、近隣の契約農家が栽培した野菜を集荷し、加工用野菜として卸売業者へ出荷する。大型の予冷庫を設置して鮮度保持に努め、農家にとって有利な販売ができる体制づくりなどを進めている。
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__竹内さんが県内の種苗会社に勤めていた当時、徳島県産の野菜を関東方面にPRすることを目的とした生産事業部が社内で立ち上がり、県内外を問わず販路の開拓に携わっていた。
__「初めは、小ロットを直接お店に卸すことなどもありましたが、そこで痛感したのはモノを売る難しさでした。しかし『この商品を売る』ということよりも『需要がある商品』を見つけて、それを生産者の方に作ってもらうことで徐々に軌道に乗り始めたんです」と竹内さん。
__ただ、会社は種苗類の販売が本業で、同じ農業ではあるものの本業と路線がずれてきたことから、会社の勧めもあって退社し、集荷から販売までを担う徳島ハーベストを設立した。
〇40戸の農家と契約
__現在は、契約農家約40戸が栽培しているキャベツやタマネギ、レタス、ブロッコリー、青ネギを主品目として出荷し、6人の従業員と共に集荷や荷分け、選別作業の他、自ら栽培も行っている。
__竹内さんは「会社を経営するにあたって感じたのは、生産者側と出荷先で注意する点が本当に違うなと。出荷先が注意するのは規格や品物の出来よりも鮮度が第一。収穫してから出荷までの速さ、保存状態にかなり注意を払っています。加工用とはいえ、品質管理は私が思っている以上に厳しいものです」と話す。
__集荷した品物の鮮度低下を防ぐため、細かな保存方法を契約生産者に指示し、大型の予冷庫を設置するなどして鮮度保持に努めている。
〇休耕地の活用も
_若い生産者がこれからも安心して農業を続けられるように有利な販売ができる体制づくりや、土地ごとに適した作物や栽培方法の共有、地元の雇用創出や休耕地の活用を通じた地域貢献などを、これからの目標として挙げる竹内さん。
_「厳しいと言われ続けている農業情勢ですが、ありがたいことに出荷先からは出荷量増や取扱品目の増加の声をいただいています。魅力ある農業になるように努力していきたいですね」と笑顔で話してくれた。
写真説明上=「若い生産者が安心して農業を続けられるように有利な販売体制づくりを目指します」と竹内さん
写真説明下=大型予冷庫の前で竹内さん。鮮度保持に努めている
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