_「肥料や農薬を使用しなくても、野菜はきちんと実ってくれる力強さを持っていると私は考えるんです」と話す、有限会社若葉農園(石井町浦庄下浦)代表の横田光弘さん(52)。肥料・農薬不使用の自然農法を実践し、横田さんの他3人の正社員、14人の研修生と5人のパートタイマーで、水稲(2.5㌶)と約50品目の野菜類(5.5㌶)を栽培している。
_自然農法での安定生産には苦労し、「不確定要素を一つずつつぶしていくのは、いかにバックヤードを盤石なものにしていくかでもあります」と横田さん。
_一つの要は、品種改良があまり行われていなかった在来種からの自家採種だ。10年前に開始し、作りやすく品質が安定しやすい種の選抜を繰り返すことで、自然農法に適する種を残すことに成功。現在は栽培品目の約9割をカバーするまでになった。
_もう一つの要は、緻密な栽培管理だという。横田さんが新規就農した約20年前から販売方法は会員制で、収穫した野菜を定期的に発送する形を採用。今までの経験で得た栽培スケジュールを品目ごとに全てデータで管理し、約50品目の安定生産につなげている。
_「自然農法で私どもの営農規模では、わずかな作業の遅れも致命傷となります。圃場ごとに播種から何日で除草、灌水(かんすい)などの作業をすればうまくいったか、さらに収穫から出荷までの時間がどれだけかかるのかもデータ化し、オンタイムで作業に掛かれるように補助します」と横田さん。
_これらの確立されたデータは従業員全員で共有しており、「安定した品質の良いものを作り、販売数をさらに増やしていくのが目標ですね」と話す。
写真説明=自家採種用のニンジンの前で横田さん
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