佐那河内村(さなごうちそん)では、遊休農地の活用や農機具リース事業などを通じて地域の活性化を目指す住民グループ「良土(よいど)れん」を組織。会員約10戸のうち5人が遊休農地の棚田を利用して2011年ごろから古代米の栽培に取り組み、今年は黒米を約60㌃、赤米を10㌃作付けしている。
黒米は主に村内の業者に販売し、若い女性グループが味噌(みそ)造りを行っている。赤米は県内の酒造会社に酒米として使ってもらえるよう働きかけていく予定だ。
事務局の松山健児さん(58)は、「今のご時世だからこそ、明るい希望や目標を持つのが大事。実現するかどうか分かりませんが、目標はたくさんありますよ」と話す。
消費者の古代米に対する要求に応えるために減農薬栽培を行い、有機肥料の使用も検討している。「古代米を作るようになって、棚田で作っている白米の注文も増えてきています」と松山さん。
今後は、古代米をはじめとした農業全般を取り巻く地域全体の活性化を目指していく方針で、「酒造りに使用する酵母の自家栽培にも取り組みたい」と意欲を燃やしている。「地域に元気を取り戻したい」と松山さんの声は力強い。
写真説明=黒米の圃場で良土れんの会員。右から田中博さん(64)、会長の山田光春さん(55)、多田實さん(62)