カテゴリー別アーカイブ: 新聞(共通)

〈人生楽しく〉再び動かす喜びは格別

井上 慶昭さん(徳島県徳島市)

――発動機の修理を始めたきっかけは?
_もともと機械いじりが好きで、自宅にあった石油発動機を触っていました。10年ほど前からは、石油発動機ブームも手伝って、いろいろなメーカーの発動機を触るようになりました。一つ一つのパーツや、仕組みの違いを見ることが楽しくて、収集と修理にはまっていき、現在はほぼ製造も流通もされていませんが、手元に集まった発動機は60台を超えています。
――発動機の魅力は?
_ブームだった時は、音の違いなどを楽しむ人が多かったのですが、私にとっての一番の魅力は修理工程です。独学ですが、壊れたり<RUBY CHAR=”錆”,”さ”>びついたりした部品を分解して、再度組み立てて動くようにすることが楽しいです。また、ほかの人が修理できなかったような難しいものに挑戦して、動くようになったときの喜びは格別です。
――工夫されていることは?
_業者に依頼して修理してもらうことはできます。ですが、あえて使えないパーツの代わりを、あるものを自分で加工したり作ったり代用して、お金をかけずに直すことでより愛着がわいてきます。
――自慢はありますか?
_今では、県内外から修理の依頼が入ることもあります。今まで70台ほど修理しましたが、そのすべてが稼働するようになり、まだ故障もしていません。
――これからの目標は?
_出回らない貴重なもの、高価なものも多く、今では動く発動機が少なくなっています。まだ触れたことがない発動機もあるので、これからも新しいものに挑戦してみたいと思います。

180804

 

 

 

 

 

写真説明=「県内外から修理の依頼があります」と話す井上さん

土作りの重要性を再認識 NOSAI徳島が冬春野菜栽培講習会開催

_NOSAI徳島では7月26日、県立農林水産総合技術支援センターと共催で「冬春野菜栽培講習会」を開催。品質の良い野菜作りの参考にと、ブロッコリーなど冬春野菜栽培についての講習会を初めて行い、生産者約40人が参加者した。
_野菜が育つのに必要な土壌の性質や土作りの基本について、同センター高度技術支援課の黒田康文講師がスライドを使って1時間半にわたり講義した。
_「土壌診断を実施し、改善対策の効果を確認することや作物別土壌酸度を知ることが大事」と話す黒田講師。徳島県の主要農作物としてホウレンソウ、ブロッコリー、ナス、洋ニンジンなどの施肥基準や被覆資材の種類、マルチの張り方のほか、さまざまな気象条件への対策や備えについて説明した。
_その後に講義を担当した同センターの三宅伸男講師は、生産者からよくある質問としてジャガイモやタマネギ、ニンニクなどの栽培の注意点について解説し、参加者からは質問が相次いだ。
_石井町の久米治義さんは「講義内容から自分の培った知識が間違っていなかったことを認識でき、またそれ以上の新しい知識を得ることができて大変役に立った。これからの耕作に生かしていきたい」と話していた。

180803

 

 

 

 

 

写真説明=畑の土性を説明する黒田講師

阿波古代米の魅力を発信 「阿波いにしえ本舗」

_2017年11月に徳島市八万町にオープンした「阿波いにしえ本舗」では、佐那河内村の休耕地を生かして作られた阿波古代米「阿波音(あわね)」を販売している。
_「阿波古代米のおいしさはもちろん、佐那河内村の歴史や魅力についても知ってほしい」と話すのは、阿波いにしえ本舗を経営する有限会社ティーオフィスの長渕順子さん。
_阿波いにしえ本舗では、佐那河内村の棚田の魅力を発信するほか、阿波古代米をはじめ、蜂蜜、柿酢、棚田米など、佐那河内村で作られた旬の「良いもの」を取り扱っている。徳島市内のカフェと共同開発した古代米を焙煎した古代米コーヒーやドレッシングも店頭に並ぶ。
_阿波古代米は店頭で試食が可能。栄養価が高く、もちっとした食感と歯応えも楽しめる。
_▽阿波いにしえ本舗=徳島市八万町法花51の7、電話088・677・9355
_▽営業時間=平日・土曜日午前10時30分~午後7時、日曜日午前10時30分~午後3時
_▽定休日=水曜、第2・第4日曜、祝日

180802

 

 

 

 

 

 

写真説明=「阿波古代米は冷めても硬くなりにくく、お弁当にも最適」と長渕さん

おふくろの味 活性化に一役 三好市山城町「藤の里工房」

__名勝「大歩危峡(おおぼけきょう)」で有名な三好市山城町上名。同町で活躍していた三つの生活改善グループの食品加工に熱心な人たちが中心となり、「おいしかったと喜んでくれる声を励みに、おふくろの味を若い後継者につなぎたい」と、1999年に藤の里加工組合を設立。翌年、現在の藤の里工房が完成し、地元の食材を使った餅や団子、つくだ煮などを昔ながらの製法で量産し、ふるさとの味として喜ばれている。

__立ち上げ当初から組合長を務める岡田正子さんは、茶、ワサビ、ゼンマイの複合経営の専業農家の主婦。今では工房の仕事が主になり、農業は夫に任せているという。
__工房では、地元の主婦が作っていたコンニャク、キャラブキなどに加え、甘夏やサルナシのジャム、フキやサンショウの味みそなど次々と商品を生み出し、現在は20品目を取り扱う。
__一番人気は県産100%のもち米を使用した<RUBY CHAR=”杵”,”きね”>つきの田舎餅。白餅のほか雑穀のタカキビやコキビ、地元で摘んだ天然ヨモギを練り込んだ4種類がある。「地元はもちろんのこと、大阪や奈良などにも送っています。町出身で近畿地方のふるさと会のメンバーが、懐かしいと買ってくれるんですよ」

〇原料は地元中心で
_「原料は地元のものを中心に近郊の市町村から仕入れています。もち米は30㌔袋を年間250袋仕入れています。ヨモギは5月に全部収穫して、300~400㌔を小分けして冷凍保存しています。『手前みそ』は、町内学校給食や近くのホテルでも使ってくれていて、保存料や添加物を一切使用しない本当の家庭の味です」と岡田さん。
__商品は、近くのスーパーや大型ショッピングセンター、産直市などでも販売している。「瞬間冷凍機の導入で量産が可能になり、注文に応じていつでも商品化できるようになりました。量産して販路を拡大したいという設立当初の夢はかないました」と笑顔の岡田さん。

〇働く場所をつくる
_現在は組合員5人とパート3人で運営する。「この場所に職業として働く場所をつくりたかった。休みは元旦と彼岸だけですが、この町の活性化に役立つことができて満足しています」と充実している。「これからも新しい商品の開発やラッピングの工夫などをしていきたい」と夢を膨らませている。

180801_1 180801_2 180801_3

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

写真説明上=この日の作業はメンバー4人。右端が岡田さん
写真説明中=「餅やヨモギを11台の冷凍庫で保存しています」と岡田さん
写真説明下=商品は近くのスーパーや大型ショッピングセンター、産直市などで販売

待っている人のために「相生晩茶」を守る

_「今年は出来がいい。4月以降の雨が少なかったし、日照時間が多かったのが良かった」と話すのは、那賀町朴野の西浦輝昭(にしうら・てるあき)さん。妻の楽枝(らくえ)さんと、40㌃の茶畑で「相生晩茶」を生産している。
_7月上旬から中旬にかけて、西浦さん夫妻と昔から手伝っている近所の人や地域おこし協力隊など約15人が総出で茶摘みを行う。傾斜地での茶摘みは重労働で、新芽だけ摘む緑茶と違い、晩茶は枝をしごいてすべての葉を収穫する。1日1人30~40㌔摘むという。
_機械は使わず手作業なので、「手袋を二重にはめていても手は豆だらけ」と西浦さん。相生晩茶は、摘み取った茶葉を大釜で褐色になるまでむらなく煮て、機械でもんだ後、大きな木の桶に詰め込んで発酵させ、7月中旬から8月上旬の晴れた日に茶葉を天日干しにするという独特の製法で作る後発酵茶だ。
_生産者の高齢化などで、那賀町相生地区で30軒あった生産者は今では10軒余りまで減少。西浦さんは「体力的に厳しいが、相生晩茶を待っていてくれる人のために頑張りたい」と話している。

20180704_2

 

 

 

 

 

 

 

 

写真=炎天下の中、茶摘みに励む西浦さん夫妻

〈えがお〉

伊藤 翠さん
_以前から「自分の手でモノを作りたい」という思いがあって、昨年3月にふと立ち寄った秋葉原でのイベントで目に飛び込んできた自分より大きな<RUBY CHAR=”桶”,”おけ”>。「これを作ってみたい!」と強く思い、数週間後にその桶を作った徳島県内の製<RUBY CHAR=”樽”,”たる”>会社に出向いてそのまま弟子入りしました。
_弟子入りを切り出すのはとっても勇気がいりましたよ。
_見習い期間は6年で、将来独立したら地元の埼玉で開業するつもりです。それに向けて今は必要なさまざまな技法を、失敗を重ねながら学んでいます。

20180704

 

 

 

 

 

 

 

 

西日本豪雨 爪痕深く

_台風7号や梅雨前線の影響で西日本は強風と記録的な大雨に襲われ、甚大な被害が発生した。四国地区の農業関係の被害は、各県のNOSAI団体が現地確認などに全力を挙げているが、全容は明らかになっていない。今号では各県の被災状況を現地の写真とともに報告する。
_徳島県では、阿南市、阿波市、吉野川市、三好市の水稲に被害が発生した。阿南市で出穂時期を迎えた早期水稲が冠水。白穂の発生も確認している。阿波市、吉野川市の普通期水稲も広範囲に冠水。県西部の三好市山城町では土砂崩れによる土砂流入の被害を確認した。被害戸数、支払見込共済金額は調査中だ。
_園芸施設は、阿南市1戸2棟(チンゲンサイ)、徳島市2戸4棟(花き)、東みよし町1戸1棟(ミニトマト)が強風による被覆材の被害が発生。阿波市では1戸1棟(メロン)が豪雨で施設内が浸水し、施設内農作物への被害が発生した。
_三好市山城町では、上流からの土砂流入で2戸3棟(住宅2棟と納屋1棟)が被害に遭った。
_NOSAI徳島では、加入者からの被害申告および地区担当者の見回り調査などを行い、被害内容の把握に努めている。
_県の発表によると、土砂災害による崖崩れや倒木の被害は、阿南市、徳島市、三好市、鳴門市で15カ所、山腹崩壊は、東みよし町、三好市、那賀町で6カ所となっている(7月11日現在)。20180703
20180703_2

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

写真1=広範囲に冠水被害が発生(7月9日、徳島県阿波市)
写真2=土砂が流入した家屋(7月9日、徳島県三好市山城町)

_

〈輝く女性たち〉 愛情と感謝の酪農経営

中川 美弥子さん

_「動物が好き」という中川美弥子さんは岩手県出身。就農して約20年、7頭から始めた酪農は、家族や周囲のサポートに感謝しながら、一頭一頭愛情を持って育てている。
◆    ◆
_――酪農を始めたきっかけは?
_主人が牛のヘルパーをしていて、自分でも酪農経営をしてみたいと思うようになったことから、周りのアドバイスを受けて新規就農しました。私自身は酪農経験もなく、何もかもが初めてでしたが、動物が好きなので戸惑いはなかったです。
_――就農して良かったと感じることは?
_手間はかかりますが、子牛を育てることが好きです。自分たちで育てあげた子が母牛になり、また子牛を産んだときは、感慨深いものがあります。
_そして何より、家族一緒に過ごす時間が多いことです。娘2人は小さな頃から牛舎に連れてきていましたが、率先して餌作りや牛追いの手伝いをしてくれていました。昨年、娘が家畜人工授精師の免許を取得して、学校の合間に今もサポートしてくれています。
_――苦労されたことは?
_雑木林のような土地を、自分たちで開拓するところから始めました。7頭からスタートして、なんとか専業でやっていけるようになれたのも、いろいろな方に助けてもらったおかげです。サポートしてくださっている方々には本当に感謝しています。
_――趣味やこれからの目標は?
_牛もそうですが、生き物と触れ合うときが幸せです。つい保護してしまうので、猫も10匹飼っています。あとは娘たちがお菓子やパン作りが好きなので、私は試食係を買って出ています。
_家族みんな元気で、けがや病気をしないようこれからも続けていきたいと思います。20180702

 

 

 

 

 

 

 
写真=「牛もそうですが、生き物と触れ合うときが幸せです」と中川さん

自然派ハム工房リーベ・フラウ

_「添加物を一切つかわず、すべての工程に時間と手間をたっぷりとかけてできあがるハム、ソーセージ、ウィンナーはとびきりおいしいですよ」と話すのは、名西郡石井町の自然派ハム工房リーベ・フラウ店長で獣医師でもある近藤保仁(こんどうやすひと)さん。本場ドイツで豚の飼育や精肉、加工など技術と知識を学び、自社農場で育てた安全でおいしい豚を地域の人に食べてもらいたいという思いから豚肉専門店として、1999年に自然派ハム工房リーベ・フラウをオープン。阿讃山脈の標高約400㍍にある「石井養豚センター市場農場」で育てられたオリジナル豚が原料で、現在では希少となった中ヨークシャーを中心に、大ヨークシャー、デュロックを交配させた4元豚(交配過程も含む)を使用している。
_近藤さんは2017年3月に、6次産業化認定を受け自社内に新工場を建設。それまで委託していた加工工程が自社で行えるようになり、品数もバリエーション豊かに。「店頭には多数の商品を用意し、隣接には豚肉を使ったバーベキュー広場もあります。飲食部門の充実も図り、ますますパワーアップしていきたい」と話してくれた。

問い合わせ先=自然派ハム工房リーベ・フラウ(電話088―637―4567)
■Eメール=liebe@nmt.ne.jp

20180701

 

 

 

 

 

 

 

20180701_2

 

 

 

 

 

 

写真説明
上 「店頭には多数の商品を用意。ジェラートも。石井町に来たらぜひ、隣接のBBQ広場へ」と近藤さん
下 詰め合わせセット

子どもたち 生き生き 生産から販売まで一貫体験「とくしまキッズファーマープロジェクト」

_子どもたちが農作物の植え付けや管理、収穫、加工、販売までを一貫して体験することで、社会の仕組みや徳島の地産地消について学ぶ食育プロジェクト「とくしまキッズファーマープロジェクト」。昨年10月から今年5月末までの8カ月間、徳島市北田宮の宮崎農園で、蜂蜜(レンゲ蜜)作りを体験した4歳から12歳の子どもたちが、徳島市東船場町のしんまちボードウォーク周辺で開催する産直市「とくしまマルシェ」で、プロジェクト最終段階の販売体験を行った。

_「僕たちが作った蜂蜜おいしいですよ」「蜂蜜を使ったシフォンケーキはいかがですか」と行き交う人に大きな声をかける子どもたち。かわいい販売員に足を止め、熱心に説明を聞く人もいる。
_「子どもたちの表情、生き生きしているでしょ。自分たちで生産・加工した商品が間違いないっていう自信があるんですよね」と話すのはNPO法人「ALIVE LAB(アライブ・ラボ)」代表の上田啓人(うえた・ひろと)さん。上田さんはキッズファーマープロジェクトを始めて今年で8年、子どもたちに食育と徳島の産業を身近に感じてもらう取り組みを続けている。
_「関わってくれる人探しに苦労しました。とくしまマルシェに出店されている農家さんに通いつめ、収穫なども手伝って根気強くお願いしました。当日だけではなく、準備とかもある上に、繁忙期にお願いするわけですから」と上田さん。
◎食べるまでの苦労知る
_2018年とくしまキッズファーマープロジェクトの協力農家は6農園で、定員は各農園30人から45人。作業日は土・日曜日を基本に、植え付けから生産・加工・販売を、同じメンバーで、期間は1カ月から長いものは1年間経験する。8年間続けて取り組む子もいるという。上田さんは「子どもたちには、生産過程などがわかるように紙芝居を作って教えています」と話す。
_今回初めて参加した西星良(にし・せいら)さんは「今まで何げなく食べていたものが、食べるまでに苦労がたくさんあることを知った。蜜搾りの機械を回すのが難しかったけど、とても楽しかった」と話す。
_上田さんは「ただ体験させたいだけじゃなく、作り手の気持ち、生産することの大変さをわかってもらえれば。徳島には山・川・海があって、生産・加工のスペシャリストがたくさんいることを知ってほしい。この活動の後、家族で食について話す機会が増えればいいですね」と話している。

180604

 

 

 

 

 

 

 
写真説明=自分たちが作った商品を販売する子どもたち。とくしまマルシェは生産者との会話や試食ができる産直市として、毎月最終日曜日に開催