カテゴリー別アーカイブ: 新聞(共通)

ホウレンソウの周年水耕栽培

細心の管理、新たな作物に意欲

_「いろいろな野菜に挑戦してみたい」と話すのは、阿波市市場町でホウレンソウとミズナの水耕栽培を行っている松永幸二さん。周年でホウレンソウの水耕栽培に取り組む農家は、県内では松永さんを含め2軒だけだ。
_農業資材関連の企業で栽培用プラントなどを販売していた松永さんは、販売先の農家を見ているうちに、自分もやってみたいと思うようになり就農。水耕栽培を始めてちょうど20年目、現在は12㌃のハウスでホウレンソウをメインに、年間約8・5㌧の出荷に汗を流している。
_病害対策や肥料の使い分け、温度管理には特に気を使っているという。「日々の作業の中で、季節ごとに細かな調整を加えていろいろ試しているが、生き物と同じで決まったように生産できるわけではない。常に気にかけていないといけないために予定が立てにくい部分はあるが、それでもきれいな野菜がたくさんできるとうれしい」
_新しい作物の栽培にも意欲的で、「楽に作れて、いっぱいもうかるものがあったらいいのになあ」と笑顔で話す。

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写真説明=「生産方法に試行錯誤しました」と松永さん

産直20カ所へ米と野菜出荷 売り上げ年々上昇

自ら配達して陳列を工夫   購買層に合わせた品ぞろえ

_「農業が楽しくてしょうがない。でも無理せず、自分や家族のペースを大切にやっていきたいですね」と話す阿南市中林町の粟飯原勝さん。家族4人とパート従業員3人で、水稲34㌶、キャベツ、ブロッコリーなどの露地野菜2㌶、ハウスで水稲育苗以外の時期に野菜を数種類栽培している。米や野菜の販売方法を工夫し、売り上げは年々上昇しているという。

_粟飯原さんは、33歳のときに会社員を辞め実家の農業を継いだ。10年ほど前、稲作がほとんどだった栽培形態から露地野菜の作付面積を増やした。 「経営は米が主力。年々下がる米価の対策として、施肥量や施肥回数を抑えられる肥料へ切り替え、大量に発注することで経費を抑えるなどしています」

◎視察で売れ筋チェック
_米や野菜の出荷は、JAのほか約20カ所の産直などで積極的に販売する。自ら配達することで、商品の陳列を工夫することができるからだ。また、独自制作したシールを貼って見た目も重視する。年に何度も県外の産直やスーパーへ出向き、何が売れているか、どうすれば売れるのか観察しているという。
「産直の立地や購買者層のことも考えます。例えば大学が近い場所なら、学生さんが買いやすい米は精米をした1㌔入りだろうなとか。そのために米袋の規格を、30㌔入りのほか、1、2、3、5㌔入りにしています。野菜については、小型が売れるような場所にはそういった大きさのものを出したり、珍しい野菜を置いた方が良さそうな場所にはそれを置いたりという工夫はいくつもしています」
_こういった取り組みが功を奏し、産直に出す商品の売り上げは年々上昇しているという。

◎農業の楽しさ伝えたい
_農業で自立を目指す若者が集まる会(阿南市主催)にも積極的に参加して交流を深める。「新規就農者が集まる会では、農業の現状や自分の売り上げなどありのままを話します。一番伝えたいのは、今、自分が本当に楽しんで農業をしているということ。そうやって若い人たちに言うのも僕ら世代の役目でしょう」
_「天候に左右され、賭けのような要素もあるし、農業を取り巻く状況は厳しいかもしれませんが、やり方次第で道は開けると思うんです。遠回りでもいい、楽しみながらゴールにたどり着けたらそれが一番ですよ」と話してくれた。20181002-1 20181002-2

写真説明上=ブロッコリー畑で粟飯原さん。「次世代に農業をつないでいく取り組みにも力を入れたい」という
写真説明下=産直の立地や購買者層のことも考え、精米した米を1㌔単位で販売

 

〈魅力ある農業に挑戦〉 東京五輪に「美ーナス」  基準をクリア、着々と準備

_2020年オリンピックが東京に決定した次の日に、『美ーナス』をオリンピックに納品することを目標設定しチャレンジを決めました」と話すのは、阿波市阿波町の武澤豪さん。15㌶で美ーナス(翡翠〈ひすい〉ナス)をはじめとした野菜や水稲などを栽培している。阿波市の若手農業後継者が中心となり、同市の魅力を農産物でPRする生産グループ「GOTTSO阿波(ごっつぉあわ)」のメンバーで、阿波市観光協会理事や阿波市議会議員も務めている。
_武澤さんは金融機関に勤務していたが、父親の病気を機に後を継ぎ就農した。「たまたま農業をしていたので、野菜で食育・町おこしをして阿波市を有名にすることと、若い農業者の意見を取り入れていくシステムを作り、GOTTSOブランドの確立を目標にしてきた」
_「グループ行動には目標があることが大事。今は、20年東京オリンピック・パラリンピックの選手村に美ーナスを納品して、世界中の人に食べてもらうことが夢」と意気込む。
_オリンピック選手村の食堂で提供できる農産物の基準は、安全性に関する生産管理の国際規格「グローバルGAP」、アジアGAP、農林水産省の農業生産工程管理(GAP)のガイドラインに準じた都道府県などの制度で生産管理が確認された作物としている。
_美ーナスは16年にこれらの認証を取得しており、内閣官房の東京オリンピック・パラリンピック競技大会推進本部から納品についての具体的な説明を受け、着々と準備は進んでいる。 武澤さんは「これを機に、阿波市を代表する野菜としてもっと知名度を上げて、町の活性化と次世代に希望をつなげたい」と話す。

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写真説明=「美ーナスに続く商品の開発にも取り組んでいます」と武澤さん

 

スダチ 味・香りとも最高

_「味、香りともに最高のスダチができました」と話す勝浦町坂本の内谷安弘さん。スダチ30㌃、温州ミカン100㌃、ユズ20㌃、ユコウ20㌃を栽培している。
_県内の大学卒業後、大阪で自動車のパーツ開発の仕事をしていたが、「いつかは地元に帰って、祖父の果樹園を継ぎたい」との思いから6年前に帰郷した。
_1本の木に数百個の実がなり、枝にトゲがあるスダチ。収穫はやはり大変で、手伝いの数人と9月いっぱいまでに何とか完了する。収穫したスダチは選別し、冷蔵庫で貯蔵。10月中旬から11月末まで県内や京阪神に出荷される。
_「高品質を保つための冷蔵庫の温度調節が難しい。マニュアル通りにはいかないところが農業の難しさであり楽しさ」と内谷さん。「自分のペースで仕事ができ、自分の時間がしっかり取れるところが農業の魅力。地域の活動にも参加する機会が増えて、毎日が充実している」とやりがいを感じている。

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写真説明=「収穫時期が一年で一番楽しい」と内谷さん

需要期過ぎた夏秋イチゴを生かす 高校生がワインを商品化

_三好市の池田高等学校三好校では、地域活性化を目的として2017年から商品化に取り組んできた夏秋イチゴを使ったイチゴワイン「高原の煌(きらめき)」(500㍉㍑、税込み1500円)が完成。8月3日に食農科学科2年生野菜専攻の生徒5人が、西祖谷山村のJR大歩危駅構内で観光列車の乗客に試飲販売を行った。

_高原の煌は、東みよし町水の丸地区特産の夏秋イチゴを使った甘味果実酒で、さわやかな甘みとほんのり酸が残る飲みやすいイチゴワイン。本年度から一般販売までこぎつけた。
_夏秋イチゴの収穫は7月から12月までで、11月下旬以降はイチゴの需要が冬イチゴ(促成栽培)へと変わっていくため、夏秋イチゴの栽培を11月末で打ち切ることが多い。 指導に当たった同校の西條泰教諭は「12月の夏秋イチゴはほぼ需要が無い。需要が無くなった夏秋イチゴを購入し、ワイン用に利用することで、生産者にとってもメリットがあると考えます」と話す。

◎ラベルに産地を表現
_生徒は年1、2回ほど苗の手入れなどの農作業を手伝う。ワインの醸造は、香川県さぬき市の「さぬきワイナリー」に委託した。冷凍保存したイチゴをワイナリーに運び、5月から醸造し7月に完成。今回はイチゴ約70㌔を使い、約300本のワインが製造できた。 ラベルのデザイン考案、瓶詰め作業やラベル貼り、ボトルキャップの取り付けなどは生徒たちが行った。ラベルのデザインについて「水の丸の標高千㍍にイチゴがなっているようなイメージで作りました」と生徒は話す。

_高原の煌は池田町の「NATAN葡萄酒専門店」で販売を始めた。「製造数を増やし、祖谷地域の宿泊施設で採用してもらえるよう営業活動ができれば」と西條教諭。今後の展開については、「高原の煌は継続して製造し、本年度は新商品としてスパークリングイチゴワイン『高原の煌Sparkling』を広島県の福山ワイン工房に開発依頼し、製造する予定です。また、今回同様に11月、3月にJR大歩危駅での販売活動を考えています。県内外の多くの方に高原の煌をPRしていきたい」と話している。
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写真説明上=高原の煌を試飲する観光客ら。
写真説明中=試飲販売を行う池田高校三好校の食農科学科2年生野菜専攻の生徒。学校で栽培したイチゴとブルーベリーを使った生徒たちの手作りジャム「ベリー・ベリージャム」も販売。
写真説明下=ラベルは標高千㍍にある水の丸地区の夏秋イチゴをイメージして作られた。

地産地消は朝ごはんから    メニューの食材すべて県産

_「朝あったかいお汁を食べるとその日一日の元気が違う」と話すのは、2017年8月に徳島駅近くに開店した「朝昼ときどき晩ごはんDoor!(ドアー)」店長の曽谷(そたに)さおりさん。平日の午前7時30分から朝ごはんを提供している。
_朝ごはんの食材は、ごはん、卵焼き、自家製みその大豆やみそ汁の具、ぬか漬けのすべてが徳島県産。曽谷さんが前職で培った野菜に対する知識や、農家とのコネクションで実現したオール徳島県産の朝ごはんは390円と低価格だ。
_「毎日食べてほしいからこの価格です。月に1回のごちそうでは地産地消は進まないし、健康にも結びつかない」と曽谷さん。朝ごはんに追加できる小鉢も徳島県産の旬の野菜を使い、調理の仕方は野菜のコンディションや天候に合わせて毎日変えているという。
_店名は、地域と人をつなぐ扉の役割をしたいという思いから付けたという曽谷さん。「これからの農業のためにDoor!ができることは、地域の食事にみんなで触れてもらって、意識を高めてもらうこと。地産地消の初動の場としてこれからも続けていきたい」と話している。

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写真説明=「おいしいごはんを食べに来たことが、実は地域や食につながっていることが理想」と曽谷さん

〈旬の味もう一品〉 ゴボウの春巻き   佐那河内村 多田奈津佳さんが紹介

_「佐那河内村の献上棚田米や地元の野菜と果物をふんだんに使っています」と話す多田奈津佳さん。2015年から、夫の和弘さんと二人で宅配弁当事業「YOME(よめ)厨房」を始めた。
_現在は、同村に嫁いできた30代から50代の女性9人で、毎日200食の弁当を作っている。「その日の天気や食材の風味、お弁当全体のバランスを考え、午後からも元気で働けるようにと調理方法にも気を使っています」と多田さん。たっぷりのゴボウとシメジを炒め、チーズと春巻きの皮で巻いていく看板メニュー「ゴボウの春巻き」は、ゴボウとチーズが絡み合ってビールにも相性抜群だ。

★レシピ
材料(10個分)
春巻きの皮……10枚
とろけるチーズ(チェダーチーズ)……10枚
シメジ……1袋
ゴボウ……80㌘×10本(800㌘)
ごま油……適量
皮を閉じる用の小麦粉・水……適量
A〈ゴボウのごまあえ用〉すりごま、塩、砂糖……適量

☆作り方
(1)ゴボウを薄切りにして水にさらしておく。シメジは石づきをとってほぐす。フライパンにごま油を入れてシメジを炒め、さらにゴボウを入れて炒める。きんぴらごぼうを作る感じで軟らかくなるまで炒める。
(2)火が通ったら冷ましてAを入れ、ごまあえを作る。
(3)春巻きの皮をひし形に並べて、手前の端にチーズを広げ、ゴボウのごまあえ(一つかみ)をのせて春巻きの皮を巻く。この時、チーズの流出を防ぐようにして巻く。巻いていった春巻きの皮の隅ののりしろ部分に小麦粉と水をのりの代わりに付けて巻く。
(4)中温の油で揚げ、周りがカラッとなればOK。

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写真説明上=何もつけずにそのまま食べられるゴボウの春巻き
写真説明下=YOME厨房のメンバー。右から2人目が多田さん

 

 

 

 

規模拡大へ収入保険が必要      新田 達也さん(徳島県那賀町)

_「放棄地解消と経営規模拡大の両立を目指したい」と話すのは、脱サラ後に就農して5年目の新田達也さん。 高齢化が進む中、地域の世話役を数多く兼任し、県の農業後継者クラブの副会長も務めている。趣味は、ライダーごっこが大好きな4歳の息子と遊ぶこと。
_「近年、中山間地は獣害や自然災害で深刻なダメージを受けています。放棄地を利用して、野菜の栽培面積を増やしたいと思っており、安心して規模拡大にチャレンジするためにも収入保険は必要になってくる」と新制度に期待する。

▽徳島県農業共済組合南部支所▽NOSAI部長・損害評価員歴=1年▽担当戸数=16戸▽水稲20㌃、スダチ30㌃、種苗類30㌃

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台風21号 県内全域に被害

_非常に強い勢力のまま県南部に上陸した台風21号による暴風雨の影響で、水稲・果樹・園芸施設・建物に大きな被害が発生した。
_水稲では、県内全域の普通作約30㌶で暴風雨による倒伏被害を確認。果樹は、勝浦町のミカン園地で強風による倒木や枝折れが発生、徳島市や板野郡のナシ園地でも枝折れや果実が落下し、約6㌶で被害が出ている。
_園芸施設では、県内全域で被覆材や本体被害が多発し、施設内農作物、附帯施設など232棟の被害を確認。建物は、暴風雨による屋根部、外壁部などの損傷で78棟の被害を確認した。被害戸数や支払見込共済金は現在調査中だ。
_NOSAI徳島では、加入者からの報告と地区担当者の見回り調査から被害状況を把握し、迅速な損害評価の実施と共済金の早期支払いに全力を上げている。

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写真説明上=倒壊したハウス(阿波市市場町)
写真説明中=根こそぎ倒されたミカンの木(勝浦町)
写真説明下=強風で落果したナシ(藍住町)

 

〈特集〉収入保険 加入の決め手

_すべての農産物を対象に、農業経営の収入減少を補てんする収入保険の加入申請手続きが10月から始まります。収入保険への加入に前向きな生産者の方に、補償内容の魅力などを聞きました。

◆レンコン
家族経営を守るため(鳴門市・谷口 一郎さん)

_収入保険の説明会に出席しました。今までレンコンを補償する保険が無かったこともあり、すべての作物が対象になるという点がメリットだと思います。
_掛金などの負担、保険を使った次の年はどれくらい掛金が上がるのかなど心配な面もありますが、家族経営のため、もし自分が腰痛になって仕事ができなくなったら、あるいは家族の誰かが病気・入院したら食べていけなくなるという不安が加入の一番の理由です。
_今後、レンコンは徳島ブランドの新品種に挑戦する計画です。家族経営なので、できる範囲で少しずつ栽培面積を増やしていきたいと考えています。

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◆ネギ
出荷不能時に助かる(徳島市・戎 芳郎さん)

_近年、今までに経験したことのない天候不順が続くので、出荷できない状態になり、いつ収入がなくなるかと心配です。
_ネギを栽培して42年目。祖父の代から60年近くになりますが、ネギは保険とは無関係でした。野菜価格安定制度は、出荷して初めて補償してくれるもの。出荷できなかったら何にもありません。
_収入保険は、収入の減少を補償してくれるという安心感があり、安定した経営を続けられることが魅力。
また、保険の対象とならなかった人の掛金は、年々下がっていくシステムも良いと思います。

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